忘れないように、出産記。


前駆陣痛に悩まされて4日。
18日の午前中に入院したけど、そこからも長い。
なかなか陣痛の間隔が縮まらず。
お風呂に入ってみたり、歩いてみたりするけど、全然ダメ。


夜、赤ちゃんのストレスチェックをしてみると
どうやら、私の陣痛が起るタイミングで赤ちゃんの心拍が下がる傾向があることがわかった。

もしかすると帝王切開になるかも・・・ということで、
帝王切開になった場合のために??点滴を打たれる。
義両親がやって来てくれて、お義母さんが付き添ってくれることに。

これで身動きがしにくくなる。


隣にも同じ陣痛で苦しむ人が。「痛いー痛いー」という声が響く。
私より後に陣痛準備室へやって来て、私より先に分娩室へ行く。


4日もほとんど寝てない状態が続いてて、
しかも数分おきにすごい痛みがやってくる。
意識が朦朧としてきて、本当に自分が何やってるのか、いつになったら解放されるのか
わからなくなって、オットに「何故、自分はこんなことしてるの?」と聞いた。
後日談だけど、オットは意識が朦朧とした私を見て結構心配していたそうだ。


夜になって、1度、赤ちゃんの心拍が急激に下がる。
助産師さんがやってきて、急に鼻に酸素の管をつけられる。
これを観ていたオットの心配そうな強張った顔。今でも目に浮かぶ。


先生に見てもらうと、どうやら羊水の量が少なくなっているらしい。
それが、赤ちゃんの心拍を下げている原因とか。
赤ちゃんの頭は本当にあともうちょっとってとこまで出てるのに。
何時間も苦しんだのに。
3分間隔の陣痛。子宮口8センチ。あとちょっと。
でも、出産の時にも心拍低下する可能性があるとのこと。赤ちゃんがそれに耐えられるか?
帝王切開にしましょう。」と若い女の先生が言う。
そうか、それで赤ちゃんが助かるなら、腹くらい切ろう、傷が残ってもいい。
頭の中ではっきりとそう思った。


帝王切開の準備が始まる。
オットが説明と書類手続きをしている間に、
助産師さんが剃毛してくれる。その間にも陣痛がやってくる。
帝王切開になったからって、すぐ麻酔になるわけじゃない。陣痛は容赦なくやって来る。
今まで腰を擦ってくれてた人が居なくなっただけで、相当な痛み。
尿道に管を通されたけど、陣痛のが痛すぎて痛みはナシ。


その間に、また赤ちゃんの心拍が下がる。
助産師さん達もドタバタし初めて、病室には誰もいなくなる。
私は酸素の管を自分の鼻に押し当てて、空気を送らなきゃ、しっかり息をしなきゃ、
と思った。
その時思ったのは、
「この子が、この後遺症で何か障害を持ってしまっても仕方ない。
 ただ、生きて生まれてきてさえくれれば、絶対に幸せにできるのに。」


中年の男性の先生がやってきて、「もう髪の毛が見えている」と言われていた赤ちゃんを
ぐーーーっとお腹の中に押し戻した。
(今でも、何故あんなことしたのかわからない)
コレ、あまり覚えてないけど、めちゃくちゃ痛かった。
今まで、”お母さんの声は赤ちゃんにも聞こえてるから、ネガティブなことは言わないでおこう”
と心に決めて、どんなに痛くても「痛い」とは言わず「頑張れ、頑張れ」と言ってきた私でしたが、
ここではさすがに「痛い」と叫んだ。だって、そう言わないと殺されると思うくらい痛かったから。


その中年の男性先生は、まだ自然分娩にするか帝王切開にするか・・・という感じで悩んでいた。
自然で産めるなら、自然で産ませたい、という気持ちはわかるが、
もうこちとら、帝王切開の覚悟ができてるし、何より赤ちゃんが苦しまない1番の方法にして欲しかった。

なんだかあやふやなまま、その先生は立ち去る。
どっちでも対応できるようにと、帝王切開の準備はつづけられる。
その時、バシャーと何かが洩れるのがわかった。
私はあまりの痛さに失禁したんだと思った。


とりあえず分娩台に・・・と言われ、歩いて分娩台に行こうとすると、
助産師さんに「破水してる!」と言われる。(さっきのは破水だった!)
ベットを見ると、水と血が混じってベトベトになっていた。


分娩台に上る。
なかなか生まれなければ、そのまま手術室へ運んで帝王切開に切り替える、と言われる。
そうか、ここで頑張って産まなければ。
帝王切開が嫌というより、早く生まないと赤ちゃんが長く苦しむことになる、と思った。


普通、がどうなのか分からないけど、
宿直の若い女の先生、中年の男性先生、そして私の担当医だった先生まで来てくれた。
先生が3人って、結構、すごいことなんじゃないだろうか?
(聞いた話だと、先生は産まれる直前にフラリとやってきて、へその緒切るだけ、って聞いてたので)

鉗子分娩をすることとなり、
若い女の先生が、中年の男性先生に「私、自信ないです・・・」みたいなことを言ってるのが聞こえてきた。
男性先生が「自分がやる」みたいなことを言ってくれて、ホッと安心する。
心の中で、大変申し訳ないが、「(若い女の先生に)君は下がっていろ!」と思った。

帝王切開の手術室の準備もできてます、みたいな連絡も入り、
分娩室はドタバタ。
私は腹をくくり、「よし、もう絶対、ここで産む!!」と決める。
オットも分娩室に来てくれる。
朝7時、分娩スタート。


そして・・・なんと分娩はすんごい楽だった。
鉗子だったからなのだろうか?初めてのことだけど、とりあえず、陣痛に比べたら全然。
助産師さん達に「上手だよ。」「産めるよ」と励まされながら、
子宮口をバリバリ引っ張られ、裂けるのがわかったけど、全然痛くないのね。噂通り。


頭が出たよ。
肩が止まってるのがわかる。次のいきみで肩が出る。
10回くらいはいきんだかな?
スルリ、と娘と私がニコイチから2人の人間に。


26分後、無事、娘を出産。
隣を見るとオットが泣いていた。私は意外に冷静だった。
赤ちゃんも泣いて、私は「ヨカッタ!泣いた!」と思った。
1瞬、真赤な顔をした赤ちゃんの顔をチラリと見れた。
けど、そのまま先生に抱っこされて、赤ちゃんは連れていかれる。


すごい、生まれた。よかった、泣いた。


ずっと女の子、だとは聞いていたけど、念のためオットが
「女の子でした?」と確認したら、先生が
「ごめん、確認する暇もなかった」と言われた。
あわててNICUに行ってしまったから。


娘は、胎便吸引症候群、それにより気胸になってしまったようだ。
1週間、NICUの保育器に入ることとなる。